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ロシアビジネス最前線

ロシア人とのビジネスは危険です。
また、ロシア人を信用することも危険です。
しかし、相手を見下したり、相手を全く信頼できないとみなして
ビジネスを行うのは、これはもう話になりません。

必要なのは、相手を知ることです。

よかったらお教えしましょう、ビジネス現場でのロシア人が、一体どんな人たちなのか。

エピソード1

上司と部下

ある地方のロシア人大物社長の通訳をした時のことです。
この社長はソビエト崩壊後わずか5,6年で、なにもないところから、
その地方でも有数の会社を作りあげるまでになった、力のある人物です。

そんな彼ですが現在、直属の部下として働いていた人間によって裁判にかけられています。

その部下は、ちょっと前まで副社長として働いていた、まさにこの大物社長の右腕とも言うべき人物、
二人でこの地方きっての会社にまで成長させてきたのです。

しかしなぜ、二人は今、いがみ合わなければならないのか?

この社長は非常に猜疑心が強い。
お金を急激に持ったためでしょうか、彼と関わりになるほとんどの人が、
彼をだまそうとしていると考えています。
そして、この社長によれば、彼の右腕として働いていた副社長は、
日本での取引の際に、売上代金を横領していた、と考えているのです。

この社長は言います。
「この男は、私の金をだまし取った上に、そのかどでくびにしてやったら、
今度は裁判沙汰で、会社まで取ろうとしている。
全く許し難い人間だ」
ところが、実際に取引をしていた日本側は、この彼の右腕の人物のことをそうは見ていませんでした。
むしろ逆でした。

なんでも、この会社の人間で日本に来ていた者は、実際に多額の横領をしていたそうなんです。
それも、一度や二度ではなく、一人や二人ではなく、みんながみんなです。
それをさせまいと監視し、社長に対して忠誠を尽くしていたのが、
この社長の右腕の副社長でした。その様子を日本側はよーく分かっていました。

「日本ではそんな様子はなかった。常に彼はあなたに対して忠実だったよ」
日本側の人間はそうこのロシア人の社長に告げます。

ロシア人の社長はその瞬間涙をすすり上げます。
ただ黙するのみでした。

彼の会社はいま傾いています。
信頼できる副社長が会社を去り、会社の運営がままなりません。
それどころか、その副社長がいまではその会社を脅かす存在になっています。
そのにっちもさっちもいかない状態を作り出したのは、他でもない
この社長自身なのです。
そのことを彼が完全に悟ったのかどうか、定かではありません。
しかし、自分の部下が忠誠を尽くしていたと聞いたときの、
かれの悲しげな、何ともいえない顔を、私は忘れることができません。

 

通訳が見た!!ロシアビジネス最前線 (マガジンID:0000113887)

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